いつも忘れずにいたいこと

つい目を逸らしてしまいがちなことの中にこそ、大切なことがあると思う

この世の均衡

 

やけに宗教臭のするタイトルに怯えず読んでくれている人がいたらお礼を言いたい。

 

この世はうまくできていると思う。

 

 

お顔が美人は性格ブスだったり、イケメンは馬鹿だったり、秀才なのに隠キャだったり、難ありなのにイケメンや美女にモテたり。

 

安定した職に就いていて、旅行好きで、いつまでも少年の心を忘れずにいて、割と男前で、奥さんが大好きなのに、自分の非を認められず、怒ると手がつけられず、娘からは物心ついて以降一度も「お父さんみたいな人と結婚する」の一言をもらえずにいたり。

 

少し身近な人をあげすぎて、やけに詳しい描写になったが。

 

とにかく。

 

この世はなんだかんだうまくできているものだと、誰かは分からない【はじまりの人】を褒めたい。

 

わたしは今日、これまでの人生でも三本指に入るぐらい嬉しい報告を受けた。

そして、これまでの人生でも三本指に入るぐらい言いづらい報告を兄にした。

 

自論としては、人生の波というものがあって、いいことが起こる波のあとは、悪いことが起こる波がきて、それが交互に、だいたい同じ比重になるように続いている、そんなことを思っている。

 

しかし別に同じ日に波うたずとも良いのに。

 

 

結局何を話したのかというと、近況報告と転職を考えている旨だ。

 

近況報告というとボヤけてしまうのでハッキリ言うならば、鬱だと診断を受けたことを告げた。

 

兄の本気で心配していることを隠しながらも確かに心配の滲んだ、優しい声を久しぶりに聞いた。

以前のそれは母に向けたものだったので、わたしに向けられたのは初めてだったかもしれない。

 

相槌をこまめにうちながら、絶対に邪魔をせず話を聞いてくれる兄に、すべてを話した。

話すつもりのなかったことも、親にも言えていないことも、兄には話せた。

 

同じ報告を親にも近いうちにしたいと思っていること、でも正しく伝わらず伝えられず、決めつけで否定されるのではないかと怖く思う気持ちがあることを最後に伝えたわたしに、まとめるように兄は言った。

 

 

「転職活動、今の仕事に支障が出ん範囲で、それでも自分の納得がいくように頑張れ」

 

「その期間にもし、どうしても会社に行けんって日を迎えてしまったら、休みますって連絡いれて何日か分の荷物まとめて新幹線乗れ」

 

「実家帰らんでええから東京こい」

 

「何日か東京で遊び呆けとったら、そのうち会社から連絡が来るけん、そしたら辞めますって伝えな」

 

 

嗚咽を漏らして泣いた。

兄という存在が最強だと感じた。

 

 

わたしの兄はとても優しい人だ。

とても賢い。学歴もバツグンだと思う。

わたしは一度も兄に勝てたことがない。

とても努力家だ。身長も高くガタイがいい。

 

だが、

わたしの兄はゴリラ顔のおっさんで

彼女はいない。

 

つまりはきっと、

人生はそういうことなんだろう。